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第26回日本語作文コンクール

第26回 日本語作文コンクール

日本語作文コンクールとは

第26回日本語作文コンクール (2019年10月29日)

初級
最優秀賞
バトウルジー オユンダリ(モンゴル)
優秀賞
マトス フェヘイラ ビアンカ(ブラジル)
優秀賞
ナット ブンネン(カンボジア)
優秀賞
パシェック カスパー アダム(ポーランド)
優秀賞
メングリョ レミリン カマリグ(フィリピン)
優秀賞
ヒョウ カジ(中国)

中級
最優秀賞
ブォロビヨワ マリア(ベラルーシ)
優秀賞
カプトゥル アリーナ(ベラルーシ)
優秀賞
オウ イートン(中国)
優秀賞
カウン カン ゾー(ミャンマー)

上級
最優秀賞
アウン ニェィン タンッ(ミャンマー)
優秀賞
ウィン レ シュェ イー(ミャンマー)
優秀賞
ジェローム ニコラズ(インドネシア)

第26回 講評

■総評
今回の審査では各々の審査員によって評価が違いました。今回、受賞に至らなかった方も落胆することなく、次の様々な機会に挑戦してください。
全体的には今回の作文を書くにあたって伝えたいメッセージを強く持っている人は、文章構成力や日本語の上手さ、表現力も高くなり総合得点も高くなる傾向が見受けられました。 日々高い目標を持って、感受性豊かに貴重な学生生活を過ごされることを望みます。

■初級の部
最優秀賞、上位入賞の順位は、点差が順当に開いており、審査員間のバラつきも少ないことから、順当な順位付けでした。

●最優秀賞の「2011年3月11日」は、高い文章力、日本語力と共に東日本大地震という危機的な状況の時に家族の絆が再生され、将来の目標が定まったという内容が高く評価され、多くの審査員から1位に評価されました。
●2位の「鼓動をひとつに合わせて」」はエイサーという音楽活動の紹介でしたが、高い文章力と、何より日本語の力が高評価に繋がりました。
●3位の「私は遂に数学ができるようになりました」は、かつて苦手であった数学を努力の末に克服して、留学の奨学金まで得るに至ったというエピソードでしたが、その作者の努力そのものが素晴らしいと感じました。
●「さけようがなかった」は、数年間同居した祖母との最後の瞬間までがドラマチックに描写された、短編映画のような美しい作品でした。この作品を最優秀に選んだ審査委員もいました。個人的にも好きな作品です。
●「最高の季節」は、日本語の力や文字の綺麗さが評価されました。夏への思いをより深く説明するなど内容を掘り下げると良いと思います。
●「私の記憶」は、幼い頃の思い出の後、自らが家庭を持ち、一緒に見るアニメからまた故郷に思いを馳せるという美しい作品でした。内容は素晴らしいだけにもう少し、言葉の選択など表現力を磨くとより良い作文になると思います。
●「恩恵」は、2つのエピソードの紹介でした。文章構成力が評価され、日本語の力を高めると良いと審査されました。
●「日本への私のたびじ」は、留学までの心の動きを綴った作品でした。日本語と表現力を高めると、より読み応えのある作文になるでしょう。
●「私の好きなこと」は、日本や日本語への思いは伝わるものの、自己紹介に終わっている感が否めません。もう少し内容を掘り下げて、読者に何を伝えたいかを考えて書くと良いと思います。
●「お父さんへの手紙」」は、良い内容だけに、父への思いがどのように変わっていったのか? もの足りなさを感じる部分がありました。
●「大学の生活」は、両親の影響から、自分で選んだ進路を変えた途上にいる様子が伝わりましたが、自己紹介のみに終わった感があります。スポーツ産業への思いや、進路を変えた時のエピソードなどに的を絞れば、読み応えのある作文となったのではないでしょうか。
●「あなたたちしかいない」は、両親や友人に対する思いを綴った作品でしたが、随所に日本語らしくない書き方があり、日本人の審査員には分かりにくさがありました。日本語の優れた小説を読むなど日本語の力を高めて、次の機会に挑戦にしてください。”

■中級の部
上位入賞の順位は点差としては順当に点差が開いて「永遠と瞬間」が最優秀賞に選ばれましたが、各審査員が最優秀と評価した作品は分かれ、「一さんという人」「私の目に映った日本」を最優秀と評価する審査員によって別れました。

●最優秀の「永遠と瞬間」は、病院で出会った短命な少女から気付かされた今という瞬間こそが大切だという清々しいテーマと語彙の豊富さ、美しい文章が高く評価されました。綺麗な文字を書かれた事も高く評価されました。
●2位の「一さんという人」は、困った時に不意に助けてくれた人のエピソードでしたが、そこまでの文章の展開力、構成の上手さが光りました。
●3位「私の目に映った日本」は、日本へ来た経緯と日本と母国との文化の対比が日本人の審査員には面白く、評価されました。
●「日本での恥ずかしい思い」は、面白い内容でしたが、エピソードの羅列に終わらず、伝え方に工夫すると読み応えが出るでしょう。
●「月に描写されたもの…」は、人生の真理を綴った読み応えのある作品でした。読み手を選んだかもしれませんが、詩的な表現力も高く、個人的には出色と思います。抽象的で洞察力に満ちた作品であるからこそ、より高い日本語の力が必要になるでしょう。
●「静の人生」は、性格コンプレックスを綴った作文でした。同じ内容でも読者がどういう思いになるのか を意識しながら書くと良いと思います。
●「私の先生です。」は、人との繋がりの大切さを綴った良い内容でたが、一番評価を下げたのは文字が汚い点でした。汚い文字は読み手の読む意欲を削ぎ、作品全体の印象も下げてしまったように思います。もったいない応募です。

■上級の部
上級の部の審査結果は審査員によって大きく別れ、特に上位3作品は僅差での順位付けとなりました。 審査員4人がそれぞれ最優秀として選んだ作品は、3作品に別れ、最優秀はそのどれでもない作品が総合力で選ばれました。

●「成長そのものと私」は、失敗のどん底からどのように思考を展開させ立ち直ったのかの流れが、よく伝わる構成力が非常に高く評価されました。
●2位の「老化と長寿」は、実際の社会問題を独自の視点で、人間の本当の願いは何かについての鋭い洞察力が高く評価されました。
●3位の「十年後の私」は、内省的なテーマでしたが、高い構成力が評価されると共に、真摯な姿勢が読者に爽快感をもたらしました。
●「夢」は論理の展開にスムーズさを欠く部分がありますが、化学で世界を良くしたいというメッセージと、特に比喩を使った表現力は高評価でした。
●「ストレスの価値」は、読者を前向きに導くテーマで、自然な日本語の文章が評価されました。論理展開に工夫をすると更に良くなるでしょう。
●「環境問題」は、危機感がよく伝わってきました。日本語に若干不自然さが残るので、例えば名作小説を読むなど日本語の勉強を進めれば、より良い文章が書けるようになるでしょう。

国際交流基金運営委員会  委員長 吉羽 潤司

過去の入賞作品アーカイブ

■第1回(1994年) ■第2回(1995年) ■第3回(1996年) ■第4回(1997年)
■第5回(1998年) ■第6回(1999年) ■第7回(2000年) ■第8回(2001年)
■第9回(2002年) ■第10回(2003年) ■第11回(2004年) ■第12回(2005年)
■第13回(2006年) ■第14回(2007年) ■第15回(2008年) ■第16回(2009年)
■第17回(2010年) ■第18回(2011年) ■第19回(2012年) ■第20回(2013年)
■第21回(2015年2月) ■第22回(2015年10月) ■第23回(2016年10月) ■第24回(2017年10月)
■第25回(2018年10月) ■第26回(2019年10月) ■第27回(2020年10月) ■第28回(2022年3月)
■第29回(2022年10月) ■第30回(2023年10月) ■第31回(2024年10月)